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人間は誰でも一度は
落とす「落し物」があるという
落し物をして
後ろを振返り悔やむ人
落としたことに気づかない人
気がついても見て見ぬ振りをする人
拾い上げる人
拾い上げても他の人に託す人
とその反応は様々だ
今まで歩いてきた道を振返り
落としてしまった「落し物」を探してみよう
落し物は見つからなくても
その欠片は見つかるかもしれない
落し物のありかを知っている人に
出会うかもしれない
警察に届けられているかもしれない
今からでも遅くない
記憶をたどって落し物を
見つけ出そう
どんな「落し物」したのか
それは人によって全然ちがう
しかし、その呼び名は皆同じだ
その落し物の呼び名は
「夢」
昨日、ある人に会った
プロボクサーを目指し上京し
プロになって試合も連勝し
東日本の新人王にもなって
もう少しで日本チャンピオンになれる
というところまでいったが
チャンピオンとのスパーリングで
ボコボコにされ、実力の差を見せつけられ
心が折れ、ボクシングが怖くなって
引退してしまった
それから10年
日本チャンピオンの夢は
叶えることは出来なかったが
何かそれに代わるものは無いかと
探しに探しまくっている
この人は「落し物」をみつけると思った
その手伝いをしたい
それが自分の仕事だし
それが自分の落し物の一部になるから
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